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湊 太志; 福井 徳朗*
no journal, ,
中性子捕獲反応は天体核物理や原子力工学で重要な要素の一つである。中性子捕獲反応は「直接捕獲過程」と「共鳴捕獲過程」に大きく分けられ、両者とも脱励起線を出して中性子を吸収するが、前者は複合核状態を経由しない。共鳴捕獲過程がほとんどの原子核で中性子捕獲断面積の大部分を占めており、標的核の持つエネルギー準位に応じて強い共鳴ピークが現れる特徴を持っている。一方で、いくつかの軽い核や中性子過剰核では、直接捕獲過程の影響が重要になっていることも指摘されている。それらに加えて、直接捕獲過程と共鳴捕獲過程には干渉効果が存在することが以前より知られているが、その効果による断面積の変化は通常の原子核では非常に小さい。しかし、一部の原子核で、干渉効果を考慮しなければ説明することができない実験データが得られている。理論モデルによると、このような干渉効果は、中性子捕獲断面積に対する直接捕獲過程と共鳴捕獲過程の寄与が同等であるときに見ることができる。そこで本研究では、そのような状況が顕著になる中性子魔法数近傍の原子核において、干渉効果を調べた。その結果、直接捕獲過程+共鳴捕獲過程の断面積が、干渉効果を考慮することによって増加したり減少したりすることが分かった。本研究では、様々な原子核における干渉効果について議論を行う。
飯村 秀紀
no journal, ,
国際協力で進められているEvaluated Nuclear Structure Data File (ENSDF)の更新作業の分担として、質量数A=126の核種の核構造・崩壊データの評価を行っている。A=126は、RhからNdまでの16元素について、崩壊、中性子核反応、荷電粒子核反応など多様な実験が行われている。それらの実験データを評価して、準位や線のエネルギー・強度などについて推奨値を提示した。また、それぞれの準位のスピン・パリティも、崩壊や反応から推定して与えた。発表では、矛盾する実験データがあった場合の評価の例を示す。また、ENSDFと評価者国際ネットワークの現状についても報告する。
金子 耕士; Pokharel, G.*; Christianson, A. D.*; 竹内 徹也*; 仲村 愛*; 辺土 正人*; 仲間 隆男*; 大貫 惇睦*
no journal, ,
スピン軌道相互作用の強い電子系では、多重項励起準位の間隔は大きく、基底から大きく離れて位置するため、低温の物性には一般に影響しない。その中でEuでは、=0の非磁性基底に対して=1の励起準位との間隔が狭くなるため、温度上昇に伴いその影響が現れる。中間価数を示すEu金属間化合物で特異な物性が報告される中、多重項励起の影響についても興味が持たれている。Eu化合物における多重項励起準位については、不純物や絶縁体中の状態について、主に光学測定による報告があるものの、金属状態における報告例は極めて限られている。その要因は、金属で3価の安定化合物が少ないことに加え、その有効な測定手法である中性子に対して、Euが吸収体であることなどが考えられる。最近、新たな安定Eu3価金属化合物として、EuPdが報告され、バルク測定から、室温付近から多重項励起準位の寄与が示唆されている。本研究では、EuPdの多重項励起についてより直接的に調べるために行った、非弾性中性子散乱実験結果について報告する。
羽島 良一; Omer, M.
no journal, ,
レーザーコンプトン散乱で発生するエネルギー可変かつ単色の線ビームを使った非破壊核種分析システムの設計、性能評価を行うために、モンテカルロコードGeant4の拡張を行っている。拡張の内容は、核種分析のシグナルとなる原子核共鳴蛍光散乱、バックグラウンドとなる弾性散乱(レーリー散乱、原子核トムソン散乱、デルブリュック散乱)の組み込みである。これら拡張作業の内容をシミュレーション例を交えて紹介する。
徳永 陽; 青木 大*; Mayaffre, H.*; Krmer, S.*; Julien, M.-H.*; Berthier, C.*; Horvati, M.*; 酒井 宏典; 服部 泰佑; 神戸 振作; et al.
no journal, ,
ウランを含む遍歴強磁性超伝導体では強磁性と超伝導がミクロに共存する。このことは強磁性揺らぎを媒介としたスピン三重項超伝導の存在を直感的に示唆している。またURhGeでは結晶のb軸に磁場をかけていくと、一度壊された超伝導が再び出現する(磁場誘起超伝導)。このようなウラン系遍歴強磁性超伝導体の特性は、磁気揺らぎによる超伝導のメカニズムを実験的に検証する格好の舞台を与えている。講演では単結晶試料において行ったNMRの結果について報告し、遍歴磁性超伝導体URhGeの磁気揺らぎと超伝導の関係について議論する。
松原 章浩*; 藤田 奈津子; 三宅 正恭; 磯崎 信宏*; 石井 邦和*
no journal, ,
加速器質量分析では、測定目的核種である長半減期放射性核種とこの安定同重体の分別が必須である。従来、電離箱を用いた同重体分別では、測定目的核種の原子番号が大きくなると、両者のスペクトルが近接するため分別が難しくなる。著者らは、新しい技術として、コヒーレント共鳴励起で目的核種あるいは同重体を選択的に電離させ両者を分別する方法を提案した。この基礎研究としてイオン・チャネリングと荷電分布の関係を実験的に調べた。
服部 泰佑; 酒井 宏典; 徳永 陽; 神戸 振作; 松田 達磨*; 芳賀 芳範
no journal, ,
URuSiは、=17.5Kで「隠れた秩序」に相転移し、=1.5Kで超伝導を示す。「隠れた秩序」と共存する新奇な超伝導状態の詳細を明らかにするために、純良単結晶に対するSi NMR測定を行った。結果、磁化容易軸方向のナイトシフトは超伝導転移に伴い減少したが、磁化困難軸である面内ナイトシフトの変化は見られなかった。異方的なナイトシフトの変化について詳細を議論する。
市川 裕大
no journal, ,
近年、反K中間子と原子核の束縛状態であるK中間子原子核の研究が活発に進められている。J-PARC E27実験の結果からは、最も単純なK中間子原子核"K-pp"と考えられる信号が検出された。しかし、E27実験では崩壊粒子用の検出器として、プラスチックシンチレータを並べた飛程検出器を使用したため、位置分解能・統計・立体角が乏しく、スピン・パリティの議論を行うことができずに、信号の起源を特定できなかった。そこで、我々はHダイバリオン探索(K中間子ビームを使用)のために現在開発を進めている三次元飛跡検出器Time Projection Chamberを飛程検出器の代りに使用する。高精度・高統計のデータを取得し、部分波解析を行う。この実験では期待されるビーム強度が106Hz程度であるK中間子ではなく、中間子をビームとして使用するため、TPCが現在達成しているHzのビーム強度耐性をさらに向上させなくてはならない。ここで、Hyp-TPCは電子増幅部にGas Electron Multiplier (GEM)を使用している。そこで、我々はビーム通過部のみ電子増幅をしない程度に印可電圧を下げることでGEMをマスクする手法(Mask-GEM)を用いて、Hz以上のビーム強度耐性を得る。我々はMask-GEMを製作し、Hyp-TPCに組み込み、実験室での性能評価及び、ELPHで電子ビームを用いたテストを行った。
中川 洋; 片岡 幹雄*
no journal, ,
分子レベルでの生命現象を追求する生命科学の研究では、計測分析技術がそのカギとなる。近年、その技術開発は著しく、様々な計測手法が開発されているが、中性子では、他の計測手法では得がたい生体分子の動態(構造やダイナミクス)が分かる。中性子による生体物質解析は、構造科学的な視点からの解析のみならず、ガラス転移などの熱物性に関係した物性研究でもその特徴を発揮できる。また生命科学は生命現象の解明などの理学的な研究だけでなく、医学・薬学・農学などの応用科学とも密接に関係する。
加藤 新一; 原田 寛之; 畠山 衆一郎; 金正 倫計
no journal, ,
大強度陽子加速器であるJ-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、負水素イオンを用いた荷電変換多重入射を入射時間0.5msで行っている。この際、ビームロスの原因となる空間電荷力の緩和や、周回ビームの荷電変換膜による散乱の低減のために、横方向の位相空間上の任意の範囲に入射ビームを配置するペインティング入射が必須となる。RCSでは、入射中のビーム分布変化を周回毎に測定しペインティング過程を最適化することを目的として、非破壊型1次元横方向分布モニタである残留ガスプロファイルモニタ(IPM)の開発と改良を継続して行っている。RCSのIPMでは、ビーム通過によってイオン化された残留ガスを垂直または水平方向の付加電場でMCPまで平行に輸送し、電子として増幅する。そしてこれをアノードで検出することで、ビームの1次元横方向分布を得る。しかし、これまでは測定の際に大きなノイズが混入しており、分布測定が不可能だった。そこで、多重入射中の分布測定の実現にむけたノイズの低減を行った。まず、測定と電磁場シミュレーションを比較しノイズの原因を調査した。その結果、ノイズの原因がビーム起因の電磁場であることを特定した。そこで、この電磁場を遮蔽する改良部品を設計、導入した。その結果、ノイズを50%から70%削減した。そして、供用運転の1/20程度の低強度出力ではあるものの、多重入射中のビームの積み上がりを初めて観測することに成功した。
深谷 有喜
no journal, ,
炭素原子でハニカム構造を形成した原子シートであるグラフェンは、線形のバンド分散(ディラックコーン)に起因した極めて高いキャリア移動度に加え、優れた熱伝導度や機械剛性など、これまでの材料をはるかに凌駕する多くの有用な物性を発現する。最近、ハニカム構造の枠組みをそのままに、グラフェンと同じ周期表IV族の元素で置き換えた新たな原子シートの合成が開始されている。Si、Ge、Snで構成された原子シートはそれぞれシリセン、ゲルマネン、スタネンと呼ばれている。これらの原子シートでは、混成軌道に由来するバックリング構造の形成および、重元素による強いスピン軌道相互作用の結果、軽元素で構成されるグラフェンでは見られないトポロジカル絶縁体などの新奇スピン物性の発現が期待されている。本講演では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)による、Al(111)基板上のゲルマネンの構造決定について報告する。結果として、これまでに予想されていた対称的な原子配置とは異なり、非対称性を持つことが実験的に明らかになった。
遠藤 由大*; 望月 出海*; 深谷 有喜; 高山 あかり*; 兵頭 俊夫*; 長谷川 修司*
no journal, ,
近年、新規超伝導発現の舞台として、半導体・絶縁体基板上の単数原子層物質に注目が集まっている。これまでに本研究グループでは、2層グラフェンの層間にCa原子をインターカレートしたCCaCにおいて、電気伝導測定から超伝導転移を観測している。このようなグラフェン層間化合物では、インターカレーションによる特異な構造変化が報告されているが、原子配置の詳細はまだ明らかになっていない。本研究では、最表面近傍の詳細な構造解析が可能な全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、Liインターカレート前後のSiC(0001)表面上の2層グラフェンの構造変化を調べた。講演では、様々な構造モデルを仮定したロッキング曲線の計算と測定結果の比較から、最適な構造モデルを議論する。
梶本 亮一; 中村 充孝; 社本 真一; 池田 一貴*; 大友 季哉*; 畑 博人*; 江藤 貴弘*; 奥田 哲治*
no journal, ,
最近、ペロブスカイトTi酸化物SrTiOのSrをLaに、TiをMnにそれぞれ微量置換すると熱伝導度が大きく抑えられることが見出された。その熱伝導の抑制は結晶構造、特に、局所構造の変化に対応している可能性がある。そこで、我々はSrTiO, SrTiMnO, SrLaTiO, SrLaTiMnOの粉末試料に対して、J-PARCの中性子回折装置NOVAを用いて粉末中性子回折実験を行ない、その結晶構造を調べた。得られた粉末回折パターンをRietveld解析したところ、平均的な結晶構造には4つの試料で違いは見られなかった。一方、粉末回折パターンを対相関関数に変換して比較したところ、Ti-Oの結合長に相当する=1.9のピークに、SrLaTiMnOのみ=2.1付近にショルダー構造が見られた。この位置はJahn-Teller歪みが生じるLaMnO中のMnO八面体の長いMn-O結合長に近い値であり、今回の系でもLaとMnの共置換によってMnイオン周りにJahn-Teller歪みが生じている可能性が考えられる。
服部 高典; 佐野 亜沙美; 稲村 泰弘; Yagafarov, O.*; 片山 芳則*; 千葉 文野*; 大友 季哉*
no journal, ,
石英ガラスはSiO四面体を構成ユニットとした非晶質固体である。四面体が互いに頂点共有し、多員環をつくっているため構造中に隙間が多く、加圧により顕著な密度の増加が見られる。常温で約8GPaまで加圧すると、中距離構造が変化し、密度が約20%増加する。この状態で、そのまま減圧・回収すると密度は元に戻るが、高圧下で加熱し、減圧・回収すると、高密度の状態が保持される(永久高密度化)。本研究では、これらの高密度化の微視的機構を調べるために、J-PARC高圧ビームラインPLANETにて、約17GPaまでの室温高圧、及び約10GPaまでの高温高圧下の中性子回折実験を行った。得られたS(Q)と、過去の高圧X線回折で得られているS(Q)を用いて、RMCシミュレーションを行い、原子の3次元配列モデルを導出した。本講演では、得られた構造モデルを基に、高圧常温及び高圧高温下における高密度化機構及びその違いに関して議論する。
熊田 高之
no journal, ,
核偏極技術はつい最近まで核物理実験の専売特許であった。ところが、21世紀に入った頃から半導体を用いた高周波マイクロ波発生技術の進歩や、光励起三重項電子を用いた室温偏極技術の進捗などにより核偏極技術の敷居が下がり、中性子散乱法による構造解析や量子コンピューティングにも利用可能なツールとしても注目されるようになった。また、ニトロキシラジカルを用いた核偏極技術が確立されるようになると、その汎用性は一気に高まった。極めつけは、2003年にAerdenkjaer-Lasenらにより、核偏極した試料を極低温から一気に昇温することで偏極室温溶液が得られる技術が発表されて以来、核偏極は溶液NMRやMRIといった化学・生物・医療分野からも大きな注目を集めることになった。本シンポジウムでは、核偏極を用いた国内における幅広い分野の研究者を招き、その最先端の技術とそれを用いた研究を紹介していただく。
熊田 高之; 阿久津 和宏*; 大石 一城*; 森川 利明*; 河村 幸彦*; 鈴木 淳市*; 鳥飼 直也*
no journal, ,
これまで中性子小角散乱測定で養ったスピンコントラスト変調法とよばれる本技術を中性子反射率測定に適用することにより、これまで見落とされていた薄膜試料の詳細な表面構造情報を得ることができるようになると考えた。現在、J-PARC MLFの中性子反射率計(写楽BL17)におけるスピンコントラスト実験に向けた動的核スピン偏極(DNP)装置の開発を進めている。2017年1月現在、無冷媒ヘルムホルツ型超電導マグネット/クライオスタット(Cryogenic製、3.3T, 2.3K)に、パワーアンプ付きマイクロ波発振器(Millitech, Keycom製、94GHz, 1W)、反射率実験用インサートを組み合わせた本装置に、TEMPOラジカル添加ポリスチレン標準試料を挿入してスピンコントラスト変調実験に最低限必要となる核偏極度7%を達成している。今後3月末のマシンタイムまでに、偏極度向上および中性子反射率実験の測定効率向上に向けたDNPインサート回りのさらなる改良、薄膜試料にあわせた偏極度測定用NMR回路の感度向上、水素核偏極薄膜標準試料の作成方法の確立などを進める。
久保 勝規; 堀田 貴嗣*
no journal, ,
電子系の多極子自由度、特に八極子自由度に関する研究は、結晶場基底状態がである系を主な対象としてきた。これは四重項には八極子自由度を持つだけの大きな自由度があるためである。ただし、四重項のような大きな自由度は、八極子以上の高次多極子の自由度を持つための十分条件ではあるが必要条件ではない。もし、単重項ではなく、かつ双極子のような低次のモーメントを持たない場合には、必然的に高次の多極子モーメントによってその自由度は記述される。実際、非クラマース二重項は双極子モーメントを持たず、四極子自由度と八極子自由度で記述される。この様な系でどの様な多極子相互作用が典型的となるかを調べるために、我々はの結晶場状態を記述する単純化されたモデルを考え、多極子相互作用を導いた。得られた多極子相互作用は、単純立方格子では四極子相互作用、体心立方格子と面心立方格子では八極子相互作用が主要な相互作用となった。これは、系での多極子相互作用と共通する結果となっている。
川北 至信; 田原 周太*; 菊地 龍弥; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 丸山 健二*; 山内 康弘*; 中島 健次; 河村 聖子; 神原 理*
no journal, ,
CuIは高温固相で典型的な超イオン伝導体である。溶融相ではCuが著しく不均一な構造を持つことが逆モンテカルロ構造モデリングにより知られている。この不均質な構造がどうして生じるのかを調べるため、J-PARC物質・生命科学実験施設に設置されたAMATERAS分光器を用いた中性子準弾性散乱測定と、Vashishta-Rahmanポテンシャルに分極可能モデルを適用した分子動力学シミュレーションを行った。両者のモード分布解析により、Cuイオンの溶融相での高速拡散にIイオンの協動的な運動が重要な役割を果たしていることが分かった。
横田 光史
no journal, ,
双極子相互作用を含む強磁性体においては、交換相互作用と双極子相互作用の競合によって、磁区パターンが出現する。この系における磁区パターンをランダウ=リフシッツ方程式を数値的に解くことによって、調べる。
藤森 伸一; 山上 浩志; Gttler, M.*; Vyalikh, D. V.*; Laubschat, C.*; Seiro, C.*; Geibel, C.*
no journal, ,
The electronic structure of EuRhSi was studied by angle resolved photoelectron spectroscopy (ARPES) with soft X-ray ( eV). EuRhSi is a divalent Eu-based compound which exhibits an antiferromagnetic transition at K. The spectra consist of Eu 4f multiplet structure in the energy region of eV, and dispersive bands originated from ligand states. The Eu 4f multiplets exhibit energy dispersions, suggesting they have a hybridization with the ligand states. Temperature dependence of ARPES spectra was clearly observed in the Eu 4f multiplet structure particularly around the point, which is caused by the folding of the Brillouin zone due to the antiferromagnetic transition. We discuss the nature of the antifferomagnetic transition in EuRhSi in terms of its band structure and Fermi surface.